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「選ぶ」プロセスが育むもの 2

執筆:柴田久美


私は習い事の先生だったので幼稚園や保育園、学校の先生のように毎日関わることはできません。幸せなことに、長く通ってくれている子や兄弟で通ってくれるご家庭もたくさんありましたが、成長を経てみんな教室を巣立っていきますし、ずっと彼らの人生に関わることはできない。


そう考えたときに、週に1回、1時間の関わりで私はなにができるのだろう、彼らの将来はどんな職種だろう?どんな会社に勤めるのかな、スポーツ選手なのか研究者なのか。じゃあもう少し手前の中学生になったらどんな部活をしているのかな、学校は好きかな、嫌いかな?受験をするならどんな科目を使う?はたまた、夢を叶えてねずみ男になるのかなあ(どうやって?)なんてずっと考えながらカリキュラムを作り、子どもたちと向き合っていました。


これは今でも明確な答えが出ているわけではないのですが、子どもたちがどんな道に進んでも、どんな職業についても共通して必要で大切なことってなんだろうと考えたときに、「自分で選択をできるようになってほしい」という思いを見つけました。


豊かな人生って人それぞれ違うと思いますが、「自分で選択できる」ってとても豊かなことだと思います。


「選ぶ」というワードに注目し始めると、子どもたちに絵本を読んでもらいたい時やワークをするときに「選ぶ」プロセスを入れるとそこには選んだ責任と選ぶワクワクした感情が生まれ、集中力に大きな差が出ることに気がつきました。


面倒くさい宿題や作業であってもそこに「選ぶ」というプロセスがあるだけで大袈裟かもしれないけれど世界が変わって見えるような気がしています。


「絵本で育む生きる力」というワークショップのタイトル、「生きる力」という大袈裟な表現に聞こえますが、私にとっては決して大袈裟ではなく、「絵本を選んだ経験が、人生の選択の時に後押しをしてくれる豊かな力になる」という思いがあります。


何かを肯定された経験が成功体験になり、その成功体験から得た自信でまた次の決断をしていけると信じています。だからこそ、「選ぶ」というプロセスを大切にし、たとえちいさくても成功体験を作るお手伝いをしたいといつも心がけています。


私は母親ではありません。だからこそいつも思うことは親御さんの存在は子どもにとって果てなく偉大だということ。


私が関わりの中で、うまく成功体験を作ってあげられなかったなあと思ったって、親御さんの一言で子どもたちにとっては成功体験に変換されますし、それは逆も然りです。でも、頑張ったことやプロセスを認め・認められるべきは子どもだけではなく、子育てをする親御さんにも同じことだと思っています。親子の成功体験がまた明日の選択の活力となっていくはずです。


書ききれていないこともありますが、これが私の「選ぶ」ことにこだわる理由、きっかけです。絵本を選んだ経験が一滴の勇気と自信となり、人生の選択のとき、「生きる力」になることを願っています。














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