逆境は、時に背中を押してくれる 1

執筆:内山知子


靴の学校に3年通い

自身の工房を開いて5年になります。


長い人生の中で

環境が変わるきっかけというのは

あとから思うとほんの一瞬の出来事ですが

真っ只中にいるときは

本当に長く続くように感じて

苦しい出来事もありますよね。


私のきっかけはそういう負の出来事から…。



一つ目はストレスによる突発性難聴。


私は工学系の大学・大学院を卒業し、社会人に。

一見、

巡分満帆なキャリアを積んでいるようでしたが、

仕事に対する自分の思いや

能力の方向性にモヤモヤがたまっていました。


「ストレス」と

口で言うのは簡単だったのですが

左耳が聞こえないという状態に陥った時、

自分でもはじめて

「あぁ大変だ、これは何とかしなくては」

と思いました。


耳は、薬による治療で事なきを得たのですが、

それから退職するまで

2年くらいかけて次の進路を模索していました。

(靴を学ぶきっかけは別の機会に)


そして起こったのが東日本大震災。

私が意志を固めたきっかけです。


これまで積み上げてきたものを

すべて手放すことは恐ろしかったし

周りに理解してもらうことも必要で

退職したからと言って

気が休まることもありませんでした。


結婚はしていたけれど

手に仕事がなくなることは

どうしても想像できず

靴を学びながら簿記をとったり

介護事務を勉強したり

休むことなく

自分にプレッシャーをかけ続けました。


大変でしたが、

会社員時代の長時間労働

不規則な生活に比べれば

充実感を味わえ

体調も良くなって

とても清々しかったのを覚えています。



二つ目は、妊娠をあきらめたこと。


そろそろ自分の工房を持ちたいと

考えだした頃、

結婚して7年近く経過していました。


子どもは欲しいけれど

不妊治療にあまり興味がなく

それよりも

靴づくりが楽しくなっていたので

子どもはむしろ

できなくてもいいのではないか

潔くあきらめようという気持ちに。


この気持ちの切り替えは

長く苦しんだ末の出口でしたが

やっと暗いトンネルから外に出たような

自分の背中をグンと押してくれるものでした。


自分一人で工房を構えることについては

家族も予想していなかったようで驚かれ

はじめは半信半疑の目を向けられていました。


靴教室の門をたたくこと自体、

私にとっては冒険でしたが

設備や環境を整えるために自ら奔走し

家族の協力もあって工房を無事オープン。


お客様の依頼も入り始めたところで、

妊娠したのです。

会社を去る日に撮影した記念写真











2へ続く




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