執筆:柴田久美
私は執拗に「選ぶ」というプロセスを大切にしています。私自身もこの仕事を選び、今は言葉を選びながらこの文章を書いています。
私が子どもに関わる仕事をしたいと思ったのは、お手伝いとして幼児教室のキャンプに参加したのが大きなきっかけです。子ども同士の会話で、「いっしょにあそぼう」と声をかけた時に「やだ」と答えることが衝撃でした。その反応には意地悪や悪意はなく、純粋なもので、その純粋さも思春期の私にはとても衝撃でした。
当時の私は何も言えず、子どもと関わるには学ばないといけないことがたくさんあると感じ、幼児教育を学ぶことにしました。子どもについて学べば人間の根本を学ぶことができて、人間関係のどんな場面でも役に立つのでは、という少しずるい考えもあったように思います。
卒業後は国語教室で講師をし、生徒をもつというかけがえのない経験ができました。子どもたちは私の想像力を遥かに超える発想と行動をとるので、関わりの数だけ学びがあり、気づきがあります。いくら経験を積み、学んでも、終着点の無い好奇心と学びの意欲を掻き立てられる存在です。
たくさんのことを与えてもらった私は、子どもたちに何を与えられているのだろう?私が与えるなんて、そもそもおこがましいのかもしれない。でも、そんな私だからできる関わり方はないのだろうかと自問自答を繰り返していました。
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